CRM分析の基本と始め方|EC事業者が最初に見るべき5つの指標

「今月の売上は、先月より良かった」。そう聞くと順調に見えますが、これだけではECサイトの状態は分かりません。新しいお客様が増えたのか、それとも離れていった既存のお客様の分を、新規で埋めただけなのか。売上という合計の数字は、その内訳まで教えてくれないからです。
この内訳を見るために使うのがCRM分析です。この記事では、EC事業者がまず押さえておきたいCRM分析の基本と始め方を整理します。
CRM分析とは
CRM(Customer Relationship Management)は、お客様との関係を管理し、長く買い続けてもらうことを目指す考え方です。CRM分析は、そのために「今、お客様がどんな状態にあるか」をデータで見えるようにする取り組みを指します。
広告分析やアクセス解析が見ているのは、主に「集客」です。一方のCRM分析が見るのは、「すでに接点を持ったお客様が、その後どうなったか」になります。新しいお客様をどれだけ集めても、それ以上に既存のお客様が離れていけば、売上は伸びていきません。
既存顧客の分析が後回しになりやすい理由
広告費が上がり続けているため、新規顧客の獲得コスト(CPA)は年々高くなっています。一方で、すでに購入経験のあるお客様への再購入のお声がけは、新規の獲得より低いコストで実行できることが多いものです。費用対効果の面では、優先度が上がっている取り組みといえます。
それでも後回しになりやすいのは、既存のお客様の状態が数字として見えにくいからです。新規の獲得数は広告の管理画面を見ればすぐ分かりますが、「リピーターが減っている」「休眠が増えている」は、意識して集計しないと気づけません。CRM分析は、この見えにくい部分を見えるようにするための土台になります。
まず見ておきたい5つの指標
| 指標 | 何がわかるか |
|---|---|
| 新規/リピーター比率 | 売上が新規獲得に支えられているか、既存のお客様に支えられているか |
| リピート率 | 一度購入したお客様が、また購入しているかどうか |
| 休眠率 | しばらく購入のないお客様が、どれくらいいるか |
| 顧客単価・購入頻度 | お客様一人あたりの購入金額・購入回数の傾向 |
| LTV(顧客生涯価値) | お客様一人が、これまでにどれだけ売上に貢献しているか |
この5つを、毎月同じ条件で追いかけてみてください。それだけでも「新規は増えているのに、リピート率が落ちている」「休眠率が悪くなっている」といった変化に気づけるようになります。最初から指標を増やしすぎず、まずはこの5つに絞るのがおすすめです。
CRM分析を始める3つのステップ
- データを集める:会員情報と受注データを、お客様ごとにまとめて集計できる状態にする
- グループに分ける(セグメンテーション):購入頻度・購入金額・最終購入日などを軸に、お客様をグループ分けする
- 施策に落とす:グループごとに違うアプローチ(メルマガ・LINE・クーポンなど)を用意し、実行する
つまずきやすいのは②です。ここは感覚で分けるのではなく、RFM分析やコホート分析といった手法を使うと、はっきりした基準を持って分類できます。
続かないときによくあるパターン
- 分析して終わってしまう:レポートは作るものの、そこから施策につながっていない
- データが分かれている:会員データと受注データが別々に管理されていて、突き合わせに毎回時間がかかる
- 担当者に依存している:特定の人のExcelスキルで回っていて、担当が変わると分析が止まる
3つとも、根っこにあるのは「毎回手作業で集計している」ことです。見る指標が決まっているなら、集計そのものを自動化してしまうのがいちばん確実な対策になります。
EC-CUBEで集計を自動化するには
EC-CUBEには、標準ではCRM分析の機能がありません。そのため、集計の仕組みは自分たちで用意することになります。方法は大きく3つで、SQLやExcelで自作する、外部のCRMツールと連携する、EC-CUBE向けのプラグインを使う、のいずれかです。それぞれの向き不向きは「EC-CUBEでCRM分析を始める方法」で比較しています。
大掛かりなシステムを入れずに、まず顧客分析から始めたい場合は、プラグインが候補の一つになるでしょう。
CRM分析プラグイン「CrmAnalytics」を使う
CrmAnalyticsは、株式会社LEATECHが提供するEC-CUBE向けのプラグインです。EC-CUBEの会員・受注データを自動で集計し、管理画面のダッシュボードでお客様の状態を確認できます。
この記事で挙げた5つの指標は会員分析の画面に、②のセグメンテーションはRFM分析の画面に、それぞれ対応しています。絞り込んだ会員はCSVで出力できるため、そのままメルマガやLINEの配信リストに渡せます。
利用を始めるには、管理画面の初期セットアップでスケジュール実行(CRON)を登録し、初回の集計を実行します。AI分析を使う場合は、別途OpenAIのAPIキーが必要です(利用料はOpenAI社への直接のお支払いになります)。対応バージョンや各機能の詳細は、公式マニュアルとリリース記事で確認したうえで、自店の運用に合うか判断してください。
まずは5つの指標を、1か月追ってみよう
CRM分析は、特別なツールがなくても始められます。大切なのは、見る指標を決めて、同じ条件で追い続けることです。
まずは新規/リピーター比率・リピート率・休眠率・顧客単価・LTVの5つを、1か月分だけ集計してみましょう。そのうえで手作業が負担になりそうなら、自動化の方法を検討すればよいと思います。
EC-CUBEの導入やカスタマイズ、CRM分析の始め方については、お気軽にお問い合わせください。